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五反田駅から徒歩3〜4分。
ちょっとしたホテル街の中に、ひっそりとその店はある。
女性ひとりでは少し勇気がいる立地かもしれない。でも、その先に待っていたのは、ひと口で世界が変わるラーメンだった。
入口で出会う、無言の期待感
店の外にはいつも数人の列ができているイメージ。
でもこの日は4月の日曜日、12:30ごろでまさかのノー並び。
店員さんに案内され、2〜3分でスムーズに入店。
そしてまず驚いたのが、案内の方の感じの良さ。
言葉づかいも丁寧で、ちょっとした不安もふっと消える。
メニューは1本勝負。牡蠣
入口の券売機で食券を購入。支払いは現金とPayPay対応。
メニューは潔く、牡蠣ラーメン1本勝負(税込1100円)。
ほかには丼ものとアルコール。潔いメニュー構成が、かえって期待を煽る。
狭さも、非日常感の一部
カウンターは6〜7席。かなりタイトな造りで、通路もぎりぎり。
机の高さがちょっと高めなのが印象的。
水を飲みながら静かに待っていると、ほどなくして着丼。

既に磯の香りがふわりと立ち上がり、脳がスープを求め始めていた。
一口飲んで、フレンチか?と錯覚する
スープをひと口。
牡蠣の旨みが、口いっぱいに、静かに、爆発する。
もうこれは、ラーメンのカテゴリを逸脱している。
思わず「フレンチの名店のスープ?」と錯覚するような完成度。
二口めを飲んでも、やっぱり美味しい。
麺に驚き、口内調和に酔う
続いて麺をすする。平太麺。珍しい太さ。
噛むとモチモチ、やわらかいけどダレていない。
「歯にフィットする噛みごたえ」ってこういうことかと実感する。
しかも麺自体も美味しい。
スープと一緒に食べると、またスープが恋しくなる。
スープを飲むと、また麺をすすりたくなる。
この無限ループ。止まらない。
もし一言言うならば、
麺にほんの少しだけ塩味がついていたら、さらに完成度が上がる気がする。
でもこれはあくまで好みの話。このままでも十分すぎるほど美味い。
牡蠣ペーストで追い打ち
途中でとろとろの牡蠣ペーストをすくってそのまま口に運ぶ。うまい。
それをスープに溶かすと、旨味と香りがさらに爆発する。
少しの苦味がアクセントとなり、鼻から牡蠣が抜けていく快感。

「この一杯に牡蠣何個使ってるんだろう……」
そんな贅沢な気持ちになるけれど、くどさはなく、スルスルと飲めてしまう。
具材すべてが本気を出している
味玉は、しみしみ。クラシックな味で好感がもてる。
ネギとメンマの存在感も絶妙。
そしてチャーシュー。
「具は後で……」と思っていたのに、スープと麺の流れに完璧に溶け込む塩梅。
塩分もきいてて、柔らかく、しっかりおいしい。
「どこか一つ、力を抜いてる具があるんじゃないか」と思ったけど、全員が全力投球。
これはすごいこと。
最後に味変、そして余韻
半分食べたところで、ブドウ山椒で味変。
香りが強すぎるかと一瞬ヒヤッとしたが、全然そんなことはなく、見事にハマる。
キレと爽やかさが増して、後半の箸がさらに進む。
気づけば完食寸前。スープもたっぷり飲んだので、お腹はしっかり満たされている。
丼ものも気になったけど、このボリューム感では慎重な判断が必要そう。
最後の一口は、スープの余韻を残すように味わって飲み干した。
これは“完成形”。心からリピートしたい一杯
こんなラーメンがあったのか。
言葉にならない満足感と、「また食べたい」の気持ちが重なって、店を出たあともしばらく余韻が続いた。
これが税込1100円(税抜1000円)。信じられない。良い国に生まれた。
ラーメン好きにはもちろん、フレンチ好きにも体験してほしい一杯。
今度はホタテの日に、再訪するつもり。
「ラーメンはまだまだ進化し続けている」、そう思わせてくれた一杯だった。
また行こう。
*牡蠣が食べたくなったらこちら。スープに入れるだけで、ラーメンが一気にごちそうに。北海道産の濃厚牡蠣、冷凍でストック◎

*ひと振りで、ラーメンが変わる。和歌山県産・ぶどう山椒の爽やかな香りで、脳に来る味変体験をしてみてください。
